とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



右京によって全身泡だらけになった小さな猫を忍が背後から覗き込む。



「…ねぇ…もう少し優しく洗ってあげたら?」



「充分優しいだろ…。つか、こんくらいシャンプーつけないと泡立たないくらい汚ねぇーぞ?」



ニャオニャオと悲痛な鳴き声を上げる猫が可哀想になってくる。



「よし!流すぞ~…こら、暴れるな!」



その猫は容赦なくシャワーを頭からかけられ、まるで虐待でもされたような鳴き声を上げた。



濡れ雑巾みたいになった猫を忍がバスタオルで包むと、彼女をクリクリの大きな瞳で見上げる。



「かわいい~!見て見て、この子の目!」



子猫にキスをしてメロメロな忍に右京はムッと口を尖らせた。



「…俺には?」



「ふふふ…ありがとう!右京大好き!」



チュッと触れるだけのキスをする忍に苦笑すると、右京はドライヤーで子猫を乾かし始めた。



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