とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
乾かしてみると、足の先と額に白いブチがある以外は真っ黒な毛並だった。
「意外と美人だな…」
「うんうん!名前付けてあげないと。…何がいいかしら…」
テーブルの上でミルクを飲むその猫を二人は眺めながら「う~ん…」と唸った。
そんな二人を無視してピョンとテーブルから飛び降りると、元気に部屋中を駆け回る。
終いにはフローリングで滑って壁に激突する姿に右京はプッと吹き出した。
「顔はかわいいけど…“ルーク(戦車)”みたいだな…」
「“ルーク”か…いいかも!」
忍は猫を抱き上げ、「あなたは“ルーク”だよ」と頭を撫でた。
…勝手ニシロ…
「…忍、何か言った?」
「ん?言ってないよ?」
右京は「気のせいか…」と呟き、またソファに足を投げ出すと、新聞を広げるのだった。