とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
忍の大きくなったお腹を気にしつつも彼女を口説く。
右京の熱い吐息を首筋に感じ、抵抗すら出来ない。
「ぁ…右京、だめだよ…遅刻しちゃう…」
「…あと5分だけ…」
「本当に5分だけ?」
振り返って睨む忍の唇に触れ、啄むようなキスを繰り返すと右京は「はぁ…」と小さく息を吐いた。
「…やっぱ仕事行きたくない…」
「もう!毎朝それじゃない!」
忍は困ったように苦笑すると右京の胸をそっと押し返した。
「冗談だよ」と笑うと右京はルークを片手に抱きながらコーヒーを淹れる。
「今日の予定は?」
「午前中に病院で検診。そのままクレアとランチ。」
「病院一緒に行こうか?」
「大丈夫よ。右京だって仕事大変なんだし…」
…確かに。…つか…“クレア”って誰だっけ?
スクランブルエッグを食べながら“クレア”が誰だったかを必死で思い出す。
「…編集部の先輩よ…」
「わ、わかってるよ…」
見透かされてバツの悪くなった右京は何かを言われる前に「ごちそうさま」と席を立った。