とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
Yシャツに袖を通しながらカレンダーを確認する。
…今日は残業しないで帰れるかな…。
ニャオと鳴く声に振り返ると珍しく右京の足にルークが身体を寄せた。
「…どうした?メシなら忍に貰え?」
くりくりとした大きな瞳に自然と頬が緩む。
ルークは尻尾を数回振って“そうじゃない”とでも言っている気がした。
暫しジッと見つめ合い、右京はルークが何を言いたいのかを探る。
ルークはその場にコテンと寝転んだ。
…ダメだ…全っ然わかんね!
人間ならまだしも、さすがに猫の考えまでは読めないらしい。
「…俺の代わりに忍をちゃんと守るんだぞ。」
ゴロゴロと喉を鳴らすルークを忍に渡すと右京は忍にキスをして仕事へと出掛けて行った。