とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



『…もしも留守中、妻が産気付いたらどうしようかと…』



『…Mr.クロサキ…7ヶ月じゃ産まれません。』



『いや、でもさぁー…』



極度の心配性である右京はまだ納得のいかない顔で彼女を見た。



エバンスは右京より一回り年上の主婦であり、母親でもある。



その彼女が言うのだから間違えないのだろう。



それでも、右京は“もしも”を考えると仕事も手に付かない状態だった。



『やっぱり病院に一緒に行けば良かったかも…。』



『…そうでしょうか?たとえ病院に行ったとしてもMr.クロサキの奇行は変わらないと思いますけど。』



彼女はやれやれと言いたげな表情で右京のデスクに書類の束を置いた。




< 120 / 469 >

この作品をシェア

pagetop