とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
不貞腐れ気味にその束とエバンスを交互に睨み、渋々書類を手にとると目を通す。
ややあって、目の前の上司は『…これ…』と一枚の書類を突き返した。
『…数字がおかしくないか?もう一度確認して。』
『あら…ホントですね。了解しました。』
エバンスはこの若い上司が良くわからなかった。
しっかりしている様で職務怠慢…かと思えば思わぬ所で鋭かったり。
総合的に見れば“敏腕”だと言えるのだが…。
『…なぁ、Mrs.エバンス。もし妻が産気付いたら、俺はどうしたらいいかな~?』
…そんな事より仕事しろ!
と、言いたいが、実はなんだかんだ言いながらもそつなくこなしている為、アンニュイな彼を罵る訳にもいかない。