とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



ハニエルには何故ウリエルがそう言ったのかが解らなかった。



下等な人間として転生し、覚醒と同時に黄泉に連れ戻され門番として役目を果たす。



ウリエルには自由はなく、鎖すらないが檻に閉じ込められているも同然だった。



なのに彼は“それでいい”言う。



ある時ハニエルはその理由を聞いた事があった。



ウリエルは彼に微笑んで答えたのを思い出す。



『私は人間が好きなのだ。人間には天使にはないものを持っている。彼等は弱いが“美しい”…。』



今ならその意味が少し解るような気がする。



だが、ウリエルのように自分の身を犠牲にしてまで人間に荷担する勇気はない。



だからせめてウリエルの近くに居て彼の助けになる役目を買ってでたのだ。


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