とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
ウリエルを憐れむ天使達と嘲笑う天使達。
腐りきった薄汚い天界の秩序に吐き気がする。
『聞いたか?ウリエル様がタイタン側についたらしいぞ?』
『ウリエル様も終わりだな…元熾天使でも所詮は堕天使だって事か。』
そんな会話を耳にする事も少なくない。
事実上ウリエルのお目付け役を解任されたハニエルに『良かったな』と的外れな労いの言葉をかけられる事もあった。
…“良かった”だと…?
一瞬我を忘れて掴みかかりそうな自分に気付き、懸命に気持ちを押し殺す。
ハニエルはその度に曖昧に微笑んで誤魔化した。
悔しかった…ウリエルの陰口に反論出来ない自分が…。
そしてこの腐敗した天界から抜け出す勇気もない自分が…悔しかった。