とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
ハニエルは表情を変えずにイシスを見上げた。
『お言葉ですが…もしウリエル様が拒否したら…?』
─“拒否出来ないようにすればよい。”
『…と言いますと?』
─“ウリエルには子供がいるらしいな?”
ハニエルは内心舌打ちをする。
…何故知っている!?
彼は出来るだけ感情を出さない様に気をつけながら言葉を吐き出した。
『…ウリエル様を脅せ…と?』
─“動じないようならその子供でもよい。”
『まだ産まれていません。…それにいくらウリエル様の血を引いているとしても、力まで受け継ぐかは…』
─“間違いなく受け継ぐ。”
そう断言したイシスにハニエルは首を縦に振らざる負えなかった。