とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



ゼウス達があんなに焦っていたのはタイタンやルシファーの力を恐れたからではない。



ベルセルクであるウリエルの力を恐れたからだ。



『ウリエルがどちらに味方するか…それはタイタンにも賭けだったはずです。』



『マスティマを向かわせたのはゼウス様の意思でしょうか?』



『ベルセルクがタイタンの手に落ちるのを阻止したかったのでしょう。ウリエルはこの戦争において中立ですから…』



正直神に対して腹が立った。



…どこまでウリエル様を利用する気なんだ…!



『ウリエル様が守りたいものは天界ではない!愛する人を守りたいだけなのに…!』



思わず声を荒げるハニエルをガブリエルは『落ち着きなさい』と制した。



『私も貴方も神には逆らえない。』



その通りだった。



ハニエルは自分の不甲斐無さに拳を握りしめるしか出来なかった。



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