とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
そもそもウリエルがタイタン側についたのも仕方なくである。
ガブリエルの言う通り、彼はこの戦争においては中立だった。
元々彼はタイタン側にもゼウス側にもつく気は無かったのだ。
強いて言うなら彼は人間につきたかった筈だ。
だがそれは得策ではない。
もしウリエルが神々を頑なに拒み、人間側についたなら間違いなく今頃人間達は滅亡していただろう。
現在の地球は文明が発展し過ぎた為に天界の神々ですら統轄したがらない、言わば“無法地帯”なのだ。
だから堕天したものは“流罪”としてこの星に落とされるし、戦地にも選ばれた。
神々にとって人類が死滅しようが、この星ごと無くなろうが大した問題ではないのだ。
ハニエルはそんな人間達を憐れだと思う。
確かに信仰心や道徳心の薄れた人間達に頭を痛める事もある。
でも時代の流れとしてそれは仕方のない事なのだ。