とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
そんな無法地帯は天使達に任された。
面倒な役を天使達に押し付け、神は高見の見物を決め込む。
その癖何か失態を犯せば即刻処罰するのだ。
つまり天使達は人間達の監視を…神々は天使達の監視をしている。
だがそれがこの天界では当たり前で、異論を唱える者は少ない。
そういう宿命なのだと受け入れているのだ。
かつてハニエルもそうだった。
…さて、奴等をどうやって欺くか…。
『…誰かに似てきたな…』
自嘲気味に呟くハニエルを見て隣に居たリサが『ホントね』と笑う。
『でも、以前の貴方よりよっぽどマシな顔してるわよ?』
『顔?…顔は変わらないと思うけど…』
『…そういう所は相変わらずね…』
首を傾げるハニエルにリサは小さくため息を溢すのだった。