とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~




以前よりベルセルクと化した堕天使ウリエルを危険分子という見方があった。



彼がタイタン側についた今、天界でそれはより一層濃くなりつつあった。



ウリエルを“元熾天使”と呼ぶ者は殆どいない。



ゼウス達にとって彼は反逆者以外の何者でもないのだ。



だが、ウリエルを反逆者扱いする事に戸惑う天使も少なくない。



元々、天使達の間では彼を慕う者が多かった。



『ウリエル様が味方だったら…』



ハニエルは陰で同胞がその手の話をしているのを何度か聞いた事がある。


かと言って何かしらの行動に移す者は居ない。



神の逆鱗に触れるような真似は誰もしたくないのだ。



…じゃあ、自分は大馬鹿者って事か…。



ハニエルは地上を見下ろし、深呼吸をする。



…だが、バレるわけにはいかない!



そして意を決すると、任務の為に地上へと降下して行った。




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