とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
案の定、そこにはちょっと上目遣いで潤んだ瞳を向ける忍が居た。
…うっ…なにこれ…拷問?
ガシガシと銀髪を掻くとため息を着く。
「忍ちゃん…俺を虐めてんの?」
「だって!…ずっとシてないし…初夜だし…」
「…シたいの?」
「そりゃ…私だって…右京ほどじゃないけど…そういうのあるし…」
もじもじとそう呟く忍に右京の理性の壁は崩壊寸前である。
頭の中で物凄い葛藤を繰り返し、やっとの思いで言葉を吐き出す。
「忍、“妊婦”でしょ?」
「だから何よ!“妊婦”がシたいって言ったら駄目なの!?それとも右京は妊婦には欲情しないわけ!?」
「な…何言ってんの!?お、落ち着け!」
胸ぐらを掴まれ、逆ギレ気味の忍を宥める。