とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
ウリエルやアスタロトに比べたら危険視するような大きな力ではない。
だが何故か存在感のある小さなそれに、隣にいたアズラエルが気付かないわけはなかった。
『なるほど。あれがベルセルクの…』
『えっ…?』
彼の呟きにハニエルはハッとした。
…そうか、あれは忍さんの…
その時だった。
不穏な空気の渦が点々と塊となっているのに気付いた。
規則的な流れを作り、それはまるで巨大な…
…魔方陣っ…!?
次の瞬間、魔方陣はボゥ…と黒く光りだす。
…マズイ!発動してる…!
声を発するより先に身体が動いていた。
アズラエルが何かを言っていたが、それすら彼の耳には届いていなかった。