とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~




ハニエルが神の御前に召喚されたのは上級天使になった時以来だった。



『神が貴殿の行動について聞きたいそうです。』


伝言を伝えに来た天使にハニエルは『そうか…』と短く返す。



理由は他でもない、先日の任務についてだろう。



何せ偵察隊の半数以上が尻尾を巻いて逃げ帰ってしまったのだ。



あの時何があったかを神が知りたがる事も想定内である。



だが、御前に跪くハニエルに掛けられた言葉は全く予想外のものだった。


“ハニエル…お前は我等を裏切るつもりか?”




一瞬言葉に詰まって目を見開いた彼に神の言葉が降り注ぐ。



“報告によれば、お前はベルセルクの子供を逃がしたそうだな?”



…あの場で報告が出来る人物はただ一人…。



ハニエルは事をやっと理解した。



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