とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
“だが、ベルセルクの子供が手に入るチャンスだっただろう?”
『確かに可能だったかもしれません。…が、母体の護衛はフォカロル…それが容易で無いことはご理解頂きたい。リスクが高過ぎます。なにしろ私“一人”でしたから…。』
一人という単語を強調すると、神は一瞬言葉に詰まった。
当然だろう…もう一人の監視役だった天使は、ただ傍観していただけなのだから。
だが、今回の件で上は自分に対する反逆者の疑いを捨てていない事がよく判った。
その証拠に神はハニエルを処罰しなかったが、よくやったとも言わなかった。
…あまり派手な行動は出来ないな…
せめてゼウス達が大きく動く時までは堕天するわけにはいかない。
ハニエルは今後の“反逆者”である自分の在り方を考えるのだった。