とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
忍にベッタリくっついて丸くなるルークに「こら、ルーク!」と言う右京の声が聞こえた。
「そこは俺のポジションなんだからな!」
…器ノ狭イ奴ダ…。
ルークは右京を無視して尻尾を振った。
そんなルークを右京がジッと見つめている事に気付いた。
「…どうしたの?」
「いや…なんでもない。」
そう答えた右京に忍は首を傾げ、「へんな右京…。」と独り言を呟いた。
食材を抱えてキッチンに入って行く彼をルークは盗み見てから欠伸を一つすると、再び目を閉じる。
…モシカシタラ我ニ気付イタカ…?
右京が本当にベルセルクだとしたら、とっくに気付いていてもおかしくない。
だが、右京がルークを問い詰めるような事は無かった。