とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
『…この荷物はなんだ?伝票も無いが…』
『なんすかねぇ…返品とか?』
『いや、今日は返品は無かったはず…』
二人は並んで首を捻る。
中身は対の椅子が2脚だったが、見たところ不良品ではなさそうだ。
暫くしてウィルは『あ…』と顔を上げた。
『もしかしたら…積み込み漏れ…?』
『嘘だろ…?』
『前の便でどっかの劇団かなんか宛の家具があったんで…2個口だったんじゃないっすか?』
『…マジか…』
確認して来ますと言って走って行くウィル。
右京は特大な溜め息と共にガックリと項垂れた。
『今日こそ家で忍の作った飯が食いたかったのに…』
そんなささやかな願いも虚しく、当然の如く残業を余儀なくされるのだった。