とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



彼は右京を頭の天辺から足の先までジロジロと視線を巡らせ、『ははぁ』と口角を上げた。



『お前、団員志望だろ?』



『はぁ?…いや、そうじゃ─』



『うちは半年に一度オーディションをやってんだ。それを受けないと団員にはなれないぜ?』



『じゃなくて舞台用の椅子が─』



『見学ならあそこに居るリーダーに申し出てみろよ。機嫌がよけりゃ追い返されないだろう。もっとも今はその可能性は低いがな!というのも─…』



人の話を全く聞かない青年に右京は溜め息溢す。



機関銃の如く喋る彼を前に会話すら面倒に感じて、リーダーと言われた人物に目を向けた。




何やら言い争いをしている男女が見える。



右京は喋り続けている青年に『ありがとう』と言って彼等に近付いた。




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