とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
『…それじゃ駄目なんだよっ!』
『なんで頭ごなしに決め付けるわけ!?人の意見を聞く事だって必要なんじゃないの!?』
『あぁ、聞くさ!君以外の人の意見ならなぁ!』
白熱する二人に右京は『あの~』と恐る恐る声を掛けた。
目を吊り上げだ二人が同時にこちらを振り向く。
『昼間お届けものの件で電話したクロサキですが…あなたが責任者で?』
右京より背の高いその男は一瞬きょとんすると、次の瞬間大口を開けてゲラゲラと笑い出した。
『っさいわね…下品な笑い方しないでよ!…ちょっとアンタ!リーダーは私よ、私!』
どうやら右京の台詞は火に油を注いでしまったらしく、リーダーだと言う女にあからさまに睨まれる。
右京は内心“やっちまった”と自己嫌悪しながら笑って誤魔化すのだった。