とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~




クイーンバリーという劇団は物語に奇術を織り込んだ構成になった、一風変わった劇団だった。



『奇術…つまりマジシャン集団って事ですか?』



荷物を運びながらそう聞くとリーダーの女性は『違うわよ』と鼻で笑った。



『実際マジックが出来るのは私とさっきの木偶の坊よ。』



…木偶の坊…。



さっきの言い争いといい、相当仲が悪いようだ。



『まぁ、彼もプロのマジシャンだからたまに衝突もするって訳。』



『自分にはよく判らないけど、色々な人間がいますからね~』



神然り、天使然り…人間然りである。



『数も増えれば争いも起こるわ。十人十色、それぞれ考えが違うもの…』



右京は彼女の言葉に共感し素直に頷いた。



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