とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~




右京達がクイーンバリーの稽古場を訪れたのは翌々週だった。




『遅くなってしまってすみません…』



『いいのよ、別に急ぎじゃないし…』



イザベラはそう言ってクリスに目を向けて『お友達かしら?』と微笑んだ。



『あぁ、はい。友人のクリスです。彼はアンティークショップの店主なんですよ。』



『まぁ、そうだったの!じゃあ、買取りもお願い出来るのかしら?』



嬉しそうにそう聞く彼女にクリスは相変わらずの無愛想で『物に寄っては』と答えた。



この男の言う“物”って武器の事なんじゃないかと心配になり、右京はチラッと彼を見る。



それに気付いたらしいクリスは無言の右京に『違うぞ?』と短く呟いた。



『良かった…』



二人は苦笑しながらイザベラに促されるまま屋敷へと足を踏み入れた。


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