とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
『こっちよ』と手招きするイザベラの後を追う。
廊下の端にある小さな木製の扉には南京錠が掛けられていた。
彼女がそれに鍵を差し込むと、ガチャッと大きな音を立てて錠前が外れた。
開け放たれた扉の向こうからカビ臭いような空気が噴き出す。
イザベラはそれを気にする様子もなく、懐中電灯を片手に地下へと降りる階段を照らした。
地下のその部屋は意外に広がったものの、明かり取りの窓すらなく息苦しい。
イザベラが天井に下げられた裸電球の紐を引くと、やっと部屋の中の様子がわかった。
『意外と広いな…』
右京の呟きにクリスも『ああ…』と低い声を発した。
『あれよ。』
イザベラが指差したのは横幅1メートル程の長方形の箱だった。