とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



『荷物整理を頼まれた者だけど、イザベラは居るかな?』



『リーダー?今稽古中だから入って待ってれば?』



青年は廊下を指差し、『あの3番目の部屋だから』と面倒臭そうに言った。



礼を言って歩き出した彼等を『なぁ!』と青年は呼び止める。



『急いでないならリーダーに声を掛けるのは後にした方がいいよ。』



『…何故?』



『あの人、稽古を中断させられると物凄く機嫌が悪くなるんだ。廊下の窓から様子が見えるだろうから気をつけろよ。』



ありがとうと言うと青年は一番手前の部屋に消えて行った。



後ろを歩くニックは廊下に飾られた写真に目を留める。



『…“1940年10月”…へぇ、意外と歴史のある劇団なんだね!』



右京達も言われて壁の写真に目を向けた。


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