とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



イザベラの握られた手の平がゆっくり開く。



と、そこに再びカードが出現し、ニックは『おお!』と驚きの声を発した。



さすがにこちらの存在に気付いたイザベラは小さな溜め息をつくと、彼等を手招きした。



『邪魔しちゃったかな?』



『丁度休憩しようと思ってたからいいのよ。…彼が“鑑定士”?』



『はい、彼はクリスの知り合いのニコラス。』



ニックに視線を移動させたイザベラは『はじめまして』と手を差し出す。



彼はその手をガシッと両手で包み、『素晴らしい!』と興奮気味に喋り出した。



『マジックの事は詳しくないけど、君の動きには凄く品があって美しい!なんていうのかな…滑らか…そう、女性ならではの滑らかさが感じられたよ!あ…いや、技術も素晴らしいと思うよ?』



彼お得意のマシンガントークが始まり、右京は軽く目眩を感じた。



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