とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
況して彼女の本職はマジシャンではなく女優である。
右京とクリスは目の前の本物のアホをどう宥めるか思案していた。
『やりましょう。』
凛とした声に三人は顔を見合わせる。
『えっ…やるんですか?』
『別に無理しなくても…』
『いえ、私なら大丈夫です。』
イザベラの自信に満ちた表情に右京は多少の疑問を抱きながらも、『お願いします』と言うしかなかった。
クリスも困惑気味だったがニックだけは期待に瞳を輝かせている。
イザベラは余裕の笑みを浮かべながらタイトスカートを翻してテーブルの上に置いてあったトランプを手に取った。
『お好きなカードを一枚選んで下さる?』
『はいはい!是非私がっ!』
跳び跳ねるように手を挙げたニックが、イザベラのての中から一枚のカードを引き抜いた。