とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
目を閉じて項垂れるように祈る間、彼女は考えていた。
…この先どうなるのかしら…?
今は普通に生活出来ているロバートも、そう遠くないうちに寝たきりになるだろう。
恐らくその介護をするのは自分。
それは幸せには程遠い…“不幸”以外のなにものでも無かった。
まして籍も入れていないのでは、彼が死んでしまったら自分は何一つ相続出来ない。
『…不公平だわ…』
こんな事なら無理にでも前妻との仲をさっさと引き裂くべきだった。
あの時のやつれたロバートに自分の姿が重なった時、イザベラは目を開けた。
『…二の舞はごめんよ…』
神聖なはずの教会にどす黒い憎悪の念が渦巻く。
それが“彼等”を呼び寄せた事にイザベラは気付いて居なかった。