とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~




ロバートの宣告された余命は一年だった。



…タイムリミットは一年…。



その前にやらなくてはいけない事は何かを日々考えていた。



毎日教会に通い、神に祈る。



『…どうか良い知恵を…』



ふと呼ばれた気がして顔を上げた。



辺りを見回すが、離れた所にポツポツと老人が座って居るだけだ。



…気のせい?



イザベラは再び手を合わせて祈りを捧げる。



…“哀れな女よ…汝は強い意志があるか?”



ハッとした。



それは間違いなく彼女に語りかける声で、実際には聞こえない。



つまり、直接頭の中に響いて来たのだ。



イザベラは直感的に悟った…それが神の言葉であるだと。



…神は私を見放してはいなかった…!



イザベラは強く…強く祈った。



“どうか自分に力を…!”…と。




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