とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
“しのぶ”
◇
ホテル“グランパレス京都”…この辺りでは辛うじて一流のリゾートホテルである。
ホテルウーマンを夢見ていた学生時代、この“グランパレス京都”で働く事は憧れだった。
その願いが叶った時は言葉では表せないほど嬉しかった。
勤続4年目の“沖田しのぶ”はその頃を振り返り、「若かった」と思う。
休憩室でタバコを噴かす彼女に、同僚の田所が「よぉ!」と片手を挙げて入って来るのが見えた。
「火、貸して。」
タバコくわえたまま喋るもんだから、一瞬何を言ってるのか判らなかった。
しのぶが苦笑しながら彼のタバコに火を付けてやると、「さんきゅ」と言って隣にドカッと座る。
「…なんだ、覇気がねぇな…」
「覇気なんて随分前からないわよ…。」
「ハハハ…確かに!」
田所は接客が天職と言っても過言ではない程の人間だった。
ホテル“グランパレス京都”…この辺りでは辛うじて一流のリゾートホテルである。
ホテルウーマンを夢見ていた学生時代、この“グランパレス京都”で働く事は憧れだった。
その願いが叶った時は言葉では表せないほど嬉しかった。
勤続4年目の“沖田しのぶ”はその頃を振り返り、「若かった」と思う。
休憩室でタバコを噴かす彼女に、同僚の田所が「よぉ!」と片手を挙げて入って来るのが見えた。
「火、貸して。」
タバコくわえたまま喋るもんだから、一瞬何を言ってるのか判らなかった。
しのぶが苦笑しながら彼のタバコに火を付けてやると、「さんきゅ」と言って隣にドカッと座る。
「…なんだ、覇気がねぇな…」
「覇気なんて随分前からないわよ…。」
「ハハハ…確かに!」
田所は接客が天職と言っても過言ではない程の人間だった。