とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



ロバートは日に日に衰弱し、遂にベットから起き上がれなくなった。



イザベラの生活は病院と劇団の稽古場、そして教会を往き来する日々になっていた。



時間が出来ると劇団の稽古場でさえ、どうやってロバートを殺すかを考えてしまい、慌てて我に返る。



…ここで誰かに感付かれたら台無しだ。



多少不自然に見える彼女を団員は憐れみ噂した。



『無理ないよな…彼があんな状況だし…』



彼等が陰でそう話しているのを耳にした時は思わず笑いそうになった。



だが、皆の前では神妙な顔で振る舞う。



誰もイザベラを疑う者は居なかった。



ある日、ぼんやり窓の外を眺める彼女に団員の一人が声を掛けて来た。



< 210 / 469 >

この作品をシェア

pagetop