とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
『疲れてるんじゃないか?』
『ええ…そうかもしれない。』
『君に元気を出して欲しくてね…プレゼント。』
そう言って彼は手を差し出す。
何も持っていない手を見てイザベラは首を傾げた。
彼がクスリと笑ってその手をヒョイと翻すと、一輪の薔薇が現れた。
『まぁ…!』
驚いたイザベラを見て彼は満足そうに微笑むと、イザベラも釣られて一瞬笑ってしまった。
『やっと笑ったね。その方が君らしいよ。』
『ありがとう…。ねぇ、今のマジック?…私にも教えてもらえる?』
『じゃあ、特別に。覚えて彼にやってみせるのかい?』
『ええ…そう…そうするつもり。』
真意をひた隠し、イザベラはそう答えた。