とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
ルークを抱えてリビングに入ると、間接照明に手を伸ばす。
テーブルの上には可愛らしい字で“よかったら食べてね”と書かれたメモと、マフィンが置いてあった。
どうやら暇を持て余した昼間に作ったらしい。
「旨そう…」
彼はそれをパクリとかじりながら冷蔵庫からビールを取り出してグビグビと煽る。
とりあえず愛妻の顔が見たくて、ビールを置いて寝室の扉を押し開けた。
すやすやと眠る忍に自然と頬が緩んだ。
右京は彼女の額にキスを落とすと静かにリビングへと戻る。
テーブルの上では茶封筒のファイルをジッと眺めるルークが居た。
「なんだ、お前も気になるのか?」
ルークは尻尾を左右にユサユサと振って答えた。