とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
ルークに見えるようにファイルを捲りながら、視線を文面に走らせる。
「…変だな…」
それはあの稽古場となって居る土地に関してだった。
元々の所有者であるロバートと言う男性は彼女のフィアンセであったらしいのだ。
彼女はあの土地を格安で手に入れたと言っていた。
…そのまま結婚してしまえば手に入るのに何故?
「…破局したのか?」
だが、ファイルにはそんな事は書かれていなかった。
代わりにあったのは“失踪”という文字だった。
ロバートはあの土地を競売にかける手続きの後すぐに失踪していたのだ。
うーんと唸りながらビールを一口啜る。
「…お前はどう思う?」
右京はルークの喉を撫でながら聞く。