とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
ゴロゴロと喉を鳴らすだけで彼の考えは聞けないらしい。
「…遺産…そうだ、遺産は誰の遺産なんだ?」
ロバートの残した遺産かとも思ったが、彼は死んだわけではない。
「えっと…相続したのは、土地を買う1ヶ月前。…って事は、ロバートが失踪した直後だな。」
全てが出来すぎている気がしてならない。
ふとルークがファイルの端にじゃれついて床に書類が散らばる。
「あ~も~…駄目じゃないか!」
右京がそう叱っても彼は涼しい顔をして身体を舐めていた。
落ちた書類を拾い上げると、そのうちの一枚で手を止めた。
それはイザベラの経歴が書かれた物だった。
「…マジック…消える…失踪…って、まさかっ!?」
頭に浮かんだ疑惑に右京は立ち上がると携帯を開いた。