とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~




久しぶりに回って来た当直は睡魔との戦いだった。



油断するといつの間にか舟を漕いでいる状態で、その度に彼はペチペチと頬を叩く。



だが、そんな行為も何の効果もないらしい。



再び意識が飛びそうになった時、突然鳴り出した携帯にダンはハッと顔を上げた。



その拍子にデスクにあったマグカップを倒してしまい、書類がコーヒーまみれだ。



ダンは舌打ちをしながら乱暴に携帯の通話ボタンを押した。



『用件は!?』



苛立ちを露にした彼に電話の相手は『どうしたんだ?』と不思議そうな声を発した。



『クロウか…。すまない、ちょっとデスクがエライ事に…ったく、チクショウ!』



『…かけ直そうか?』



『いや、大丈夫だ。もう片付いた。あとはこのコーヒー臭をどうにかするだけだ。』



それを聞いた右京はおおよその予想が出来たのか、クスクスと笑っていた。




< 220 / 469 >

この作品をシェア

pagetop