とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
『“例の件”で聞きたい事があったんだが…今日は当直なのか?』
『ああ。暇だから大丈夫だ。』
ダンはやっとデスクが綺麗になると、ふぅ…と息を吐いて椅子に座った。
右京は『イザベラの遺産なんだが…』と疑問を口にする。
『彼女はあの稽古場を購入したはずなんだ…恐らく遺産で。だが、それは恋人であったロバートの遺産じゃないよな?』
『ああ、彼のじゃない。遺産は彼女の叔母だ。丁度あの土地が競売に出た直後に事故で亡くなってるんだ。』
イザベラの叔母は夫に先立たれ、一人暮らしをしていた。
彼女は自宅の階段から落ちた際、頭を打って死亡した。
発見したのは郵便配達員で、死後3日だったらしい。
『間違えないのか?』
『記録を見たけど、押し入った形跡も無いし、元々足が悪かったようだからな。すぐに事故として処理されたみたいだ。』
本当にそうなのだろうか。