とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
…都合よく遺産を手に入れ、あの土地を購入したなんて…。
『彼女が殺ったと思ってんだろ?当時担当した刑事も同じ事を疑ったみたいだ。けど、確証は得られなかったみたいだ。』
ダンによれば、イザベラは週末に叔母を訪ねていたらしいが、死亡推定時刻にはアリバイがあった。
もちろん彼女の指紋は検出されたが、定期的に訪れていた為に決定的な証拠には至っていない。
『調査に当たった刑事に話聞けないかな…』
『いや、それが…』
『なんだ、都合が悪いのか?なんなら俺が…』
『それは更に都合が悪いんだ。なにしろその担当刑事はあの“アンダーソン”なんだよ。』
『チッ…またあのおっさんかぁ…』
電話越しで二人は同時に溜め息をつくのだった。