とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~




『ハ、ハ…ハックション!!』



ズルズルとだらしなく鼻を啜ると、ポケットからハンカチを取り出してチーンッと鼻をかむ。



隣に座っていた少年に冷たく睨まれ、アンダーソンはバツの悪さを笑って誤魔化した。



『あはは…こりゃ、誰か噂でもしてるのかな?』



そんな呟きも軽くスルーされ、アンダーソンは小さく咳払いをして姿勢を正す。



…最近の子供は冷めてるなぁ~…。



何と言うか、無邪気さと言うか…子供らしさがないと思う。



現に今隣に座るこの少年もずっと携帯ゲーム機で遊んでいて周りには無関心だ。



アンダーソンの乗ったバスは、駅前のローターを半周し3ブロックも進むと大通りに差し掛かった。



最初の停留所で隣の子供が降り、道端を歩きながらゲームをする姿に思わず『まったく…』と愚痴を溢した。



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