とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
そして『ああ!』と何かを思い出したように彼は顔を上げた。
『あの時の…!はぁ~随分出世したもんだ!』
『…お知り合いでしたか?』
『いや、刑事時代にある失踪事件でイザベラ·マッケンジーを取り調べた事があるんですよ。…ここだけの話、あの女は強かですよ、ドクター!』
『またまた、そんな~』
ちょっと苦笑してベッカーはアンダーソンを盗み見た。
彼はムキになって表情を険しくする。
『あの女は“殺人犯”ですよ。…まぁ、証拠不十分で釈放されましたけど。』
『…貴方を見る限り…冗談では無さそうですね。』
『もちろん!…聞きます?』
『よろしければ…』
『ではオフレコで』と言ってアンダーソンはその事件について話し出した。