とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
◇
その頃のアンダーソンはスランプだった。
何をやっても裏目に出てしまい上手くいかない。
そうなると次第にやる気も削がれ、ただただ一日が長かった。
占いの類いは信じない方だが、多分そういう時期なんだと漠然と悟った。
『おい、アンダーソン!』
部長のいつもの馬鹿デカイ声に彼は『はい?』と振り向いた。
この歳になると上司も年下なんてのはザラである。
アンダーソンより3つ4つ年下のその男は左右に持ったファイルをちらつかせていた。
『失踪事件と殺人事件…どっちがいい?』
彼は一瞬考えて『失踪事件で』と手を差し出す。
年下の上司は『まったく…』と呟きながら右手のファイルをアンダーソンに手渡した。
その頃のアンダーソンはスランプだった。
何をやっても裏目に出てしまい上手くいかない。
そうなると次第にやる気も削がれ、ただただ一日が長かった。
占いの類いは信じない方だが、多分そういう時期なんだと漠然と悟った。
『おい、アンダーソン!』
部長のいつもの馬鹿デカイ声に彼は『はい?』と振り向いた。
この歳になると上司も年下なんてのはザラである。
アンダーソンより3つ4つ年下のその男は左右に持ったファイルをちらつかせていた。
『失踪事件と殺人事件…どっちがいい?』
彼は一瞬考えて『失踪事件で』と手を差し出す。
年下の上司は『まったく…』と呟きながら右手のファイルをアンダーソンに手渡した。