とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
ファイルに書いてあった住所を訪ねると、泣き腫らして目を真っ赤にした女性が現れた。
『貴女がMISS. イザベラ·マッケンジー?警察の者ですがお話を聞かせていただけますか?』
『…どうぞお入り下さい…』
彼女は消えそうな声でそう言うとアンダーソンを招き入れた。
『…早速ですがロバート·トーラスを最後に見たのはいつでした?』
『一時退院した、一昨日の夕方です。…日中は資産整理をしていて…夕方見に行くと既に居ませんでした…』
そこまで言うと彼女はボロボロと泣き出した。
その姿を見てアンダーソンは“何かがおかしい”と感じた。
上手く言えないが、芝居染みているというか…消沈している彼女の姿を見ても全く心に響いて来ないのだ。
そして同時に思った…“ただの失踪事件ではない”と…。