とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
親族はイザベラだけで、当然遺産を相続した…絶好のタイミングで。
そんな都合の良いことがあるのだろうか?
『珍しいですね、アンダーソン警部が終わった事件を調べ直すなんて。』
部下が言うように、彼は基本的に必要以上事件を引っ掻き回さないタチだ。
だが、今回はちょっと見過ごせない。
なにしろ殺人なのかもしれないのだから…。
『俺の勘が正しければ、イザベラは恐らく殺してる…2人も。』
『やっと仕事をする気になったみたいですね~。…ところで、2人って?』
『叔母と恋人のロバートだよ!』
『ロバート!?…だって捜索願いを出したのはイザベラですよ!?まさか、自分で殺って捜索願いを出したとでも!?』
『あぁ…“勘”だけど。』
『…その勘…どこまで信用していいのやら…』
ぼやく部下の頭をパコンッ…!と叩いて、アンダーソンは『行くぞ!』と立ち上がった。