とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
『あ。そうだ、仕入れ伝票を整理しないと。』
完全に逃げの体勢に入ったクリスは既に扉に手を掛けている。
右京が言葉を発する前に『じゃあ!』と未だ嘗て見たこともない微笑みを浮かべ出ていった。
唖然とする右京の肩をアランはポンッと叩き、インカムを差し出した。
『この季節ならあと30分もすれば辺りは暗くなる。』
『…あ~も~!わーったよ!行きますよっ!』
右京はアランから乱暴にインカムを受け取る。
『目的は?』
『彼女が隠している真実…かな?』
つまり、アランはイザベラが何かを隠してると確信したと言うことだ。
確かにあの時感じた気は術が発動したものだった。
…ただのギミックか、それとも…
右京はいつものコートを羽織りP2を後にした。