とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
『…やっぱりあそこか…』
『らしいな。見取図にないとなるとP2ではサポート出来ない。…クロウ、頼む。』
『やってみる。』
そう告げると右京は静かに建物へと近付いた。
チラッと窓から中の様子を伺う。
廊下に人がいないのを確かめてから音を立てないように窓を押し開けた。
地下室への扉は丁度ロッカーの影になっている為、右京はそこに身体を潜ませる事が出来た。
…問題はここからだな…。
木製の扉には厳重に巻かれた鎖と南京錠。
ここの鍵はイザベラが持っているだろうが、それをこっそり拝借するには骨が折れそうだ。
ならば選択肢はないに等しい。
右京は右手のレザーの手袋を外すと南京錠に手を掛けた。