とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



握り締めた手の平が熱を帯びる…。



意識を集中させると南京錠は一気に真っ赤になり変え変形していく。



数秒後には南京錠だった鉄の塊は、ボトリと彼の左手に落ちた。



右京はそれをロッカーの上に隠すと地下室への扉を開けた。



身を滑り込ませ、後ろ手で入口を閉めれば辺りは闇である。



が、彼には何の問題もない。



微かに紅く妖しい光を発する二つの瞳を動かし室内の様子を伺う。



以前に訪れた際にある程度の物はクリスが買い取った為、意外と空間が広く感じた。



一段一段階段を軋ませながらゆっくり降りる。



右京は部屋の真ん中に置かれたあの箱まで辿り着くとその場にしゃがみ込んだ。



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