とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
『じゃあ何か?エイリアンが来て置いていったとでも!?』
『そういう見解があると言っただけだ。なんにせよ時代にそぐわない産物に過ぎないんだから。』
そう言ってアランは不貞腐れるニックに小さく首をすくめた。
…時代にそぐわない…か。
右京はあの時の彼の言葉がずっと頭から離れなかった。
─『重要なのはその箱がどうやって造られたかじゃない。造り出したのが何者なのかという事だよ。』─
右京は彫刻をなぞる手を箱の上部へと移した。
指先にざらついた感触…。
『…砂?』
普通のその辺にあるような砂ではなく、もっと粒が細かい…。
海岸の砂に似ていたが、近くに海はなかった。