とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



前回気付かなかったのは、地下室に入って早々にこの蓋を開けてしまったからかもしれない。



…そうだ…俺はこの蓋を確かに開けた…。



という事はその後で蓋の上に砂が積もった事になる。



必然的に右京は地下室の天井に目をやる。



通気孔だろうか…天井の電球の脇にぽっかりと開いた空間が見えた。



『…なるほど…そういう事か!!』



『何か解ったのか?』



インカムを通して聞こえて来るアランの声に右京は応える。



『ああ、解ったよ。マジックのギミック(からくり)がね。』



恐らくこの穴は以前イザベラがあのマジックを自分達に披露した時のギミックなのだ。



『まさか、俺達に披露するだけに仕掛けたなんて事はないよな…』



『その可能性はゼロじゃないが、低いだろうね。』



なぜなら、あの時ニックがマジックを見せて欲しいと言い出したのは偶然なのだ。




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