とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
となると、このギミックは他の理由で仕掛けられたのだ。
『中は見れるか?』
『あぁ、衣装や小道具が詰まってる。』
自分達の考えが正しければ、それ以外の物もある筈だ。
右京は物音を立てないように注意深く箱の中身を取り出していく。
その途中で微かに音が聞こえたような気がして右京は顔を上げた。
─…サラ…サラサラ…
何かが溢れ落ちるような音…。
『…誰か居るのか?』
『どうした?』
『…今、音が…』
そこまで言って右京は急に息苦しさを感じて闇に目を向けた。
ゴクリと飲み込んだ息がやけに大きく耳に響く。
…何か…居る…!
そして自分の周りの空気の流れが次第にゆっくりとしたものに変わるような感覚に陥った。