とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



─…苦しいか?ウリエル…。



口元は白く長い髭に覆われている為、表情が読み取れない。



─我等の話を聞くというなら術を解いてやるぞ?



『こ…断る!!』



“我等”と言う言葉に聞かなくても大体内容が想像出来た。



クロノスはゼウス直属の神だ。



どうせタイタン側から寝返って来いとでも言うつもりだろう。



右京は術に飲まれないように懸命に意識を集中させて彼を睨み返した。



─何故だ、ウリエル…。もう少し賢明な天使かと思っていたが…。



『俺は…天使なんかじゃない…!神なんて…クソ喰らえだっ』



そうは言うものの、上手く呼吸が出来ないせいで立って居られなくなりガクッと両膝を着いた。



─憐れよのぉ、ウリエル。自らの首を絞める事になるというのに…。



何を言われても右京は従うつもりは毛頭無かった。



< 251 / 469 >

この作品をシェア

pagetop